管理人より
このページに掲載される「国際化学肥料ニュース」は、管理人がインターネット、各国の紙媒体から収集した化学肥料に関するニュース等を要約し、日本語に訳したものです。
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12月の国際化学肥料ニュース
* 中国税関の速報によれば、11月のDAP輸出量が前年同期より2.8%減の58.84万トンであったが、10月より29.9%増である。それにより、中国政府は国内供給を最重要視して、12月から輸出「法定検査」の新規申請受付を一時停止している。
また、インドとの関係悪化で、11月インド向けの中国DAP輸出が停止した。その代わりにインド隣国のバングラデシュに23万トン、パキスタンに9万トンを輸出して、11月輸出量の53.5%を占める。
* 2024年12月末の中国国内尿素工場出荷価格が10年ぶりに1600人民元(約220ドル)/トン以下に下がった。その原因は国内新規生産能力の大幅増加と輸出に対する厳しい規制である。2024年に407万トンの尿素生産能力が増加し、年末の全体生産能力が2023年末より5.8%増の7372万トンになった。2025年にさらに380万トン新規生産能力の増加が予定され、2025年末の尿素生産能力が7752万トンに達する見込みである。それに伴い、2024年の尿素実生産量が6600万トンと予測され、2023年より300万トン以上を増える一方、2024年1~11月の尿素輸出量が26万トンしかなく、12月輸出量を加えても30万トン未満だろう。12月26日現在の中国尿素メーカー在庫量が152.3万トン、流通在庫を加えると、400万トンを超えると予測される。
* アメリカニューヨーク州立大学バッファロー校の研究チームが電気化学装置を使ってアンモニアを合成する手法を開発した。その研究チームは空気中の窒素が雷により硝酸化合物に変換されることに着眼して、プラズマを利用して空気中の窒素を硝酸化合物に変換してから銅-パラジウム触媒によりさらにアンモニアに変換される。実験装置では常温常圧の環境に2アンペアの電流で1時間あたりに81.2mgのアンモニアを合成することができる。装置の正常稼働時間が1000時間を超えるという。論文はすでに米国化学会誌に発表された。
* 中国税関は肥料の不正輸出を防ぐために2025年1月1日から税番31051000の規則を一部改正した。改正前に「タブレット状その他これに類する形状にし、又は容器ともの1個の重量が10キログラム以下に包装したもの」であったが、「タブレット状その他これに類する形状にし、又は容器ともの1件の重量が10キログラム以下に包装したもの」に改正した。すなわち、改正前は1袋10kg未満であれば、税番31051000に適用できるが、改正後は1件(パレット1枚またはフレコン1袋の荷物)10kg未満である場合しか適用されない。
その理由は2021年11月以降、中国政府の肥料輸出規制に対応して、「法定検査」が緩い1袋10kg未満の小袋包装の輸出が急増した。2024年1~11月の税番31051000に適用する小袋包装の化学肥料輸出量すでに50万トンに達した。その抜け道を塞ぐために税番条文を改正した。
* 12月第3週(16~22日)の尿素国際相場はインドとエチオピアの尿素国際入札により、3週連続上昇されている。EUの確実な需要によりエジプトはFOB385~393ドル/トンで5万トン以上の輸出を契約したため、FCAフランスの価格が395~405ユーロ/トンに小幅上昇した。ナイジェリアのDangote社はFOB345~350ドル/トンで3件の大粒尿素を販売し、インドネシア産大粒尿素のFOB価格も360ドル/トンを要求している。11月末価格反転する前に比べて、3週間でトン当たりのFOB価格はロシア産尿素が10ドル、インドネシア産大粒尿素が18ドル、エジプト産大粒尿素が24ドル、ナイジェリア産大粒尿素が25ドルも上昇した。
* 12月23日に開札されたインドNFL社の尿素国際入札は21社が応札して、応札数量が東海岸140.955万トン、西海岸118.715万トンの合計259.67万トン、最低応札価格がCFR東海岸299ドル/トン、CFR西海岸369.75ドル/トンである。CFR東海岸が300ドル未満という安値の応札は予想外である。
* アフリカザンビアの首都Lusaka市に建設中の尿素プロジェクトは順調に進捗し、最難関の石炭ガス炉の据付が完了した。このプロジェクトは中国一帯一路の援助項目の一つ で、年間生産能力18万トンアンモニアと30万トン尿素、総投資額6億ドル、2025年末完成・稼働する予定である。
* 中国税関の速報によれば、2024年11月の中国化学肥料輸出量が0.9%減の337万トン、その内訳は尿素が99.9%減の670トンしかなく、硫安が20.3%増の184万トン、新記録である。DAPが3.2%減の60万トン、MAPが9.1%減の20万トン。
一方、11月の化学肥料輸入量が9.5%減の114万トン、その内訳は塩化加里が10.5%減の114万トン、NPK化成肥料が37.5%増の11万トン。
* 12月第2週(9~15日)の尿素国際相場はインドNFL社の尿素国際入札により引き続き好調が維持されている。東半球では、中東尿素のFOB価格が345~355ドル/トンに上がり、イラン尿素は天然ガス不足で稼働率が30%までに落ちて、FOB価格が310ドル/トンに上昇した。東南アジア産尿素は高値で売り出したが、興味を示すバイヤーがほとんどいない模様。
西半球では、インドの尿素入札が公表されてから北アフリカの尿素価格が1日だけでトン当たりに12ドルも上がった。エジプト産大粒尿素のFOB価格が380ドル/トン台に回復して、ロシア産尿素もFOB価格が345ドル/トンに大幅上昇した。南米のCFRブラジルが350~355ドル/トン、アメリカのFOB Nola港も330ドル/トンに上昇した。
* 12月第2週の中国尿素の国内工場出荷価格が数年ぶりに1700人民元(約236ドル)/トン未満に下がった。昨年同期の工場出荷価格が2300人民元(約330ドル)以上で、1年間で30%ほど安くなった。その主な原因は今年1月から中国政府が尿素輸出を厳しい規制をかけることである。2024年中国新規尿素プラントの完成と稼働により、1日当たりの尿素生産量が18~19万トンに上がり,1~10月の生産量が8.5%増の5475万トンに達したが、逆に1~10月の輸出量が92.4%減の26万トンしかない。輸出という捌き口を失った結果、国内尿素がだぶつき、11月末現在の尿素メーカー在庫量が143.24万トン、流通在庫を加えると、300~400万トンを超えたと推定される。来年も尿素輸出規制を解消しない限り、市場低迷が続くだろう。
* 中国窒素肥料工業協会のデータによれば、中国2024年1~9月のアンモニア生産量が前年同期より5.9%増の5,309.6万トン、窒素肥料生産量(N換算)が7.1%増の3,592万トン、尿素生産量(実物量)が7.3%増の5,016.7万トン。一方、1~9月の窒素消費量(N換算)が11%増の3,217.5万トン、尿素消費量が(実物量)が13.7%増の4,992万トン。
輸出では1~9月の尿素輸出量が91%減の25.38万トン、硫安輸出量が20%増の1,176.17万トン、塩安輸出量が121%増の110.71万トン。10月29日現在の尿素メーカー在庫量が111.41万トン、前年同期より79.34万トン多く在庫している。化成肥料メーカーや商社、販売店などの在庫を含むと、在庫量が250~300万トンに達する見込みである。
2024年下半期(7~12月)に新規アンモニア150万トン、尿素324万トンの生産能力が完成・稼働される一方、2025年にさらにアンモニア90万トンと尿素115万トンの新規生産能力が完成・稼働される見通しである。
* 12月第1週(2~8日)の尿素国際相場は反転した。これは12月にインドが再度尿素国際入札を行う噂があり、中東尿素のFOB価格が340~345ドル/トンに若干上がり、ロシア産尿素もFOB330~335ドル/トンに急騰した。エジプト産大粒尿素はEU向けの輸出が活発となり、FOB価格が355~360ドル/トンから370~375ドル/トンに大幅上がった。ただし、イラン尿素が依然FOB285~295ドル/トン、ナイジェリア大粒尿素のFOBも315~325ドル/トンで最安値を維持している。一方、東南アジアブルネイのBFI社はFOB335ドル/トンでオーストラリアに3万トン大粒尿素を販売した。
一方、買手側はエチオピアのEABC社は80万トン尿素の国際入札を発表し、12月23日締切りと開札する。南米市場に活気が戻り、CFRブラジルが330~340ドル/トン、CFRアルゼンチンが360~365ドル/トンに上がった。メキシコのTepeyac社が入札を行い、応札価格がCFR380ドル/トンに上がったとの噂である。
* 12月9日、インドNFL社は尿素国際入札を発表した。12月19日締切り、翌20日開札、2025年2月10日まで船積みという条件で100万トンを購入する内容である。これは2024年インド6回目の尿素国際入札である。すでに行った5回の入札で計420万トン尿素を購入した。なお、2023年インドの尿素国際入札が5回で、計560万トンを購入した。
* イスラエルのICL社は中国と2025~2027年塩化加里輸入基本契約を締結した。3年間に中国に250万トン塩化加里を輸出し、さらに96万トンを供給するオプションも付けている。輸出時のCFR価格はその時の市場価格に合わせて一致するという。
* 12月11日、バングラデシュ政府は2024~2025年度に国営企業による13万トン化学肥料の輸入に外貨支出を許可した。その内訳はBCIC(バングラデシュ化学工業社)がサウジアラビアのSABIC社からCFR342.33ドル/トンで3万トン尿素、BADC(バングラデシュ農業発展社)がロシアのJSC社からCFR289.75ドル/トンで3万トンりん酸肥料、モロッコのOCP社からCFR584.75ドル/トンで4万トンDAP、CFR423.50ドル/トンで3万トン重過石を輸入する。
* ポーランドのGrupa Azoty社はPulawy工場に硝酸設備の第5生産ラインが完成し稼働し始めたと発表した。第 5 ラインは、3億ズウォティ(約7500万ドル)を投資して、最新技術と設備を導入して、1日1000トン硝酸(酸濃度100%換算)の生産能力を有し、アンモニア使用量3%、電力26%、蒸気18%を 削減することができる。第 5 硝酸ラインの稼働開始により、高品質の硝酸系肥料の生産能力拡大に役立つという。
* ノルウェーのYara社はブラジルで初めて再生可能なバイオメタンからアンモニアを生産することが成功して、すでに最初の低炭素肥料を顧客に納品したと発表した。
サトウキビの廃棄物から作ったバイオメタンは、天然ガスをシームレスに置き換えることができ、温室効果ガスの排出量を最大 75% 削減する。ブラジルのサンパウロ州Cubatão市にあるYara工業団地は、すでにバイオメタンを原料とするアンモニア生産設備が完全に整っているという。
* マレーシアのGentari社はインドに約2400MWpの再生可能エネルギー容量(太陽光と風力)を設置し、それを350MW / 2100MWhのエネルギー貯蔵と統合して、AMGアンモニア社の今後のグリーンアンモニア施設にグリーン電力を供給することを発表した。
AMG アンモニ社アは、世界最大級のグリーンアンモニアプラットフォームを開発しており、2030 年までに年間 500 万トングリーンアンモニアを生産し、インドと OECD 市場に販売する。この生産量は、年間約 100 万トングリーン水素に相当し、インドのグリーン水素生産目標の 5 分の 1、およびヨーロッパのグリーン水素輸入目標の 10% を占める。AMG アンモニア社はインドのアーンドラ プラデーシュ州カキナダにある初の 100 万トン グリーンアンモニアプロジェクトの最終投資決定 (FID) を決定した。
* アメリカのBioConsortia社はニュージーランドの Hodder and Taylors Ltd(H&T社)と商業契約を締結し、ニュージーランドで窒素固定微生物の種子処理を開始することを発表した。H&T社は2024~2025年度にBioConsortia社のFixiN 33微生物種子処理剤を導入して、トウモロコシとアブラナ科の野菜および穀類の種子にコーティングしてから販売し、ニュージーランドの農家に肥料効率の向上と養分流失の削減、環境への影響軽減に役立つという。
* ベトナムは輸入化学肥料に5%の輸入関税を徴収することを考えている。主な目的は中国からの廉価化学肥料から国内化学肥料産業を保護することである。例として2023年のベトナム尿素生産能力240万トン、国内消費量180万トンしかないが、廉価の中国尿素も国内市場を侵食しているという。

